写真解析(SfM/MVS)を用いた文化財認定支援事例
東京都新宿区の西向天神社(にしむきてんじんじゃ)境内に位置する「富士塚(東大久保富士)」が、2025年1月23日付で新宿区の地域文化財(歴史分野)(第50号)に認定されました。この認定に向けた支援として、弊社は石積みの詳細な図面の作成を担当いたしました。
富士塚とは、富士山を模して溶岩石を積み上げて構成された人工の塚であり、西向天神社の富士塚は、天保13年(1842年)に築造され、関東大震災後の大正14年(1925年)に改修・再築されたものが現存しています。台地の斜面を活かして築かれており、最大で約10メートルの高低差を有しています。
本計測対象は富士塚としては非常に大規模で、かつ溶岩石が複雑な形状を持つため、手作業による計測が困難であることから、写真解析(SfM/MVS)を用いた図面作成を実施しました。対象を多視点から写真を撮影し、写真解析を通じて実寸の3Dモデルおよびオルソ画像を作成、これをCAD上でトレースを行うことで、詳細な平面図および立面図を作成いたしました。
オルソ画像を活用することで、複雑な構造物でも短期間の計測で高精度な図面の作成が可能となります。また、作成された3Dモデルは、図面作成にとどまらず、PC上で任意の視点から対象の形状確認や断面抽出を行うことも可能であり、文化財の現状記録および保存・継承に非常に有効な技術です。
![]() 西向天神社の富士塚 | ![]() |
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