国際学会“SHMII-13”への参加報告
2025年9月1日~5日の5日間、オーストリア・グラーツにて開催された SHMII-13 (13th International Conference on Structural Health Monitoring of Intelligent Infrastructure) に参加しました。本会議では、インフラの構造健全性評価やモニタリング技術に関する最先端の研究発表が行われ、幅広い分野から多数の専門家が集まりました。
当社は、セッション「Point Cloud Data Applications to evaluate Structural Conditions and Performances(構造物の健全性・性能評価への点群データの応用)」において、以下の2編の研究発表を行いました。
①「Advanced and Efficient Monorail Facility Inspections Using Optical Measurement Technologies, Including Laser and Imaging(レーザや画像処理技術などの光学計測技術を活用した、高度で効率的なモノレール施設点検システム)」/株式会社 計測リサーチコンサルタント,株式会社 かんこう
本発表では、モノレールの軌道点検および構造物の点検に関する非接触型の効率的な点検手法について報告しました。従来の点検は手作業や目視が中心であり、高所作業の安全性や効率性、定量的評価に対する課題がありました。点検車両に産業用カメラ、レーザ変位計を搭載し、走行しながら軌道変位や電車線摩耗等を計測・解析し、実際の点検業務に適用しています。これにより、モノレール軌道の損傷および変位の把握精度向上や点検業務の効率化が期待されます。
➁「Application Method of SfM/MVS Technique Combined with Point Cloud Data for Inspection of Steel Bridges(鋼橋の点検に対する点群データを併用したSfM/MVS技術の適用手法)」/株式会社 計測リサーチコンサルタント
本発表では、SfM/MVS(Structure from Motion / Multi-View Stereo)技術を用いた鋼橋点検手法について報告しました。SfM/MVSは複数視点の画像から対象物の3次元形状を再構築できる技術で、橋梁等の構造物の損傷状況を包括的に把握するために有用ですが、鋼構造物の表面は特徴点が少なく、従来の手法では適用が難しい課題がありました。従来SfM/MVSで作成していたポリゴンモデルを、現場実測の3次元レーザスキャナによる点群データおよび設計図から作成した3次元モデルに置き換えることで、鋼橋へのSfM/MVS技術の適用を実現しました。これにより、鋼橋の損傷把握精度向上や点検業務の効率化が期待されます。
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学会では、他にもインフラ点検やモニタリングに関する多くの先端技術が発表されており、当社の技術開発にとっても示唆に富む内容でした。今後も、これらの知見を活かし、より効率的で高精度な点検手法および評価方法の確立を通じて、社会インフラの安全性向上に貢献してまいります。