マスコンクリートの温度応力解析
マスコンクリートの施工にあたっては、事前に温度ひび割れに対する十分な検討の実施が求められています。また、最近ではこれらの照査に用いる解析方法として、3次元有限要素法が標準となっています。
弊社においても3次元有限要素法を用いて、日本コンクリート工学会(JCI)や土木学会(JSCE)などの指針に準じた温度ひび割れに対する照査を行っています。
温度ひび割れとは、「セメント水和熱および自己収縮に伴うコンクリートの体積変化が拘束されるために発生する温度応力により引き起こされるひび割れ」と定義されています。また、通常マスコンクリートとは、壁では厚さ50cm以上、スラブでは厚さ80cm以上が対象とされています。
下端を拘束された壁では、温度降下時に外部拘束による貫通ひび割れが発生しやすく、フーチングなどのマッシブな部材では、打設後初期にコンクリート内部と表面の温度差から内部拘束による表面ひび割れが発生しやすい傾向があります。ひび割れの照査では、温度変化によって発生する応力とコンクリートの引張強度からひび割れ指数を算出し、ひび割れ指数が目標値を満足するかの検討を行います。
外部拘束によるひび割れ | 内部拘束によるひび割れ |
出典:コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針2013公益社団法人日本コンクリート工学会 |
温度応力解析を実施することにより、ひび割れ発生確率や発生位置を予測できるため、ひび割れ制御の対策を事前に検討することができ、構造物の品質向上につながります。
これまでの解析事例では、事前の温度応力解析結果でひび割れ指数が目標値を下回った際、以下のような追加検討を行い、施工にフィードバックしました。
・誘発目地を設置した場合の再解析を実施し、誘発目地の効果の確認
・打設順序を変更した場合の解析結果の比較検討
・ひび割れ防止鉄筋によるひび割れ幅の抑制効果の確認 など
最高温度、最小ひび割れ指数グラフ |
橋脚の解析事例 | 擁壁の解析事例 | 基礎スラブの解析事例 |
弊社では解析結果を基にひび割れ対策の提案や実際のマスコンクリートにおける温度計測なども実施しています。マスコンクリートに関してお困りのことがありましたら、ぜひご相談ください。