原爆ドーム補修工法等検討
原爆ドーム第5回保存工事が2021年4月に完了し、ドーム鉄骨は被爆当時に近いとされる焦げ茶色になりました。ドーム鉄骨の塗替えや壁体の補修が行われたのは、平成元年の第2回保存工事以来となります。
施工前の原爆ドーム | 施工後の原爆ドーム |
当社は、昭和62年の保存調査以降、健全度調査の実施や3次元情報の取得など原爆ドームの保存に度々携わってまいりました。これまでの健全度調査結果から、劣化の程度が比較的大きく、このまま放置すると劣化の進行が著しくなる可能性のある箇所について、史跡原爆ドーム保存技術指導委員会のご指導のもと補修工法等を検討しました。
●主な補修工法は以下のとおりです。
1.鋼材の塗装 錆転換型下塗り+ふっ素樹脂塗料(弱溶剤形)により全面塗装を行いました。ケレンはRB種3種ケレンBとしました。
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2.煉瓦目地の補修 目地のシール材が浮き上がり、草の生育が見られるため、浮き上がった目地材を撤去し、草を取り除き、砂漆喰を目地に塗り込みました。
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3.補強金物の補修 過去の保存工事において、金物により補強された部分に錆汁や表面保護モルタルの浮きが見られたため、金物を同じ形状のステンレス鋼材に置き換え、モルタル等により断面修復しました。
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4.方立のひび割れ補修 ひび割れに対して無機系の超微粒子セメント等を流し入れて補修しました。表面は色あわせを行い、目立たない処理を施しました。
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